【失敗回避】ウレタン吹き付けのデメリットを知って、後悔しない業者を選ぶ方法

高い断熱性と気密性を実現できるウレタン吹き付け断熱。快適な家づくりの有力な選択肢である一方、インターネットなどで調べると、気になる情報も目に入ります。


「火事に弱く、燃えると有毒ガスが出る?」 「施工中の化学物質の臭いが不安。シックハウス症候群は大丈夫?」 「数年で痩せて隙間ができてしまい、結局は寒くなる?」


こうしたネガティブな情報を見て、採用すべきか迷ってしまうのは当然のことです。その不安は、ご家族の健康や家の将来を真剣に考えている証拠でもあります。


大切なのは、その「デメリット」と言われる情報が、現在の技術でどこまで対策可能なのか、そして本当のリスクはどこにあるのかを正しく知ることです。 まずは、不安の正体を一つずつ公平に検証していきましょう。




■【一覧】ウレタン吹き付けで語られる6つの主なデメリット

まず、ウレタン吹き付け断熱を検討する際によく挙げられる懸念点、デメリットを整理します。



・1. 火災の懸念(燃えやすさ・有毒ガス)

ウレタンフォーム自体はプラスチックの一種であり、素材としては可燃性です。そのため、火災時に燃え広がりやすいのではないか、また、燃焼時に有毒なガスが発生するのではないかという懸念があります。



・2. 健康への影響(施工中の臭い・化学物質)

現場で化学薬品を反応させて発泡させるため、施工中や施工直後は特有の臭いが発生します。また、VOC(揮発性有機化合物)など、化学物質による健康への影響を心配する声もあります。



・3. 経年劣化(痩せ・収縮による隙間)

施工から年月が経つと、ウレタンフォームが収縮して「痩せ」が生じ、柱や梁との間に隙間ができてしまうのではないか、という指摘です。隙間ができれば、当然ながら断熱性能は低下します。



・4. 施工品質のバラツキ(職人依存)

ウレタン吹き付けは、現場で職人がスプレーガンを使って施工する「現場発泡」方式です。そのため、施工する職人の技術力や丁寧さによって、厚みにムラができたり、隙間が残ったりと、品質が左右されやすい側面があります。



・5. コスト(他の断熱材より高額)

グラスウールなどの繊維系断熱材と比較して、材料費や施工費が比較的高額になる傾向があります。



・6. やり直しの困難さ(撤去が大変)

構造体に直接吹き付けて密着させるため、将来的にリフォームや配管の修理などで壁を剥がす際、断熱材の撤去が非常に困難であり、手間とコストがかかります。




■そのデメリット、本当に「どうしようもない」のか?専門家が回答します

セクション2で挙げたデメリットは、確かに過去には大きな問題とされていました。しかし、その多くは現在の材料開発や施工技術によって「管理可能」なリスクになっています。



・火災対策について

現在の建築用ウレタンフォームは、法律(建築基準法)に基づき、燃え広がりにくい「難燃処理」が施された製品や、炎を当てても自己消火性を持つ(燃え続けない)製品が主流です。もちろん、不燃材ではありませんが、「火に弱い」というイメージは過去のものとなりつつあります。



・健康への影響について

シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの放散量についても、基準が厳格化されています。JIS規格で最上位の「F☆☆☆☆(フォースター)」認定を受けている製品を選べば、健康へのリスクは最小限に抑えられます。また、VOC(揮発性有機化合物)の含有量が極めて少ない材料も開発されています。



・経年劣化(痩せ)について

ウレタンフォームの「痩せ」は、主に材料の品質や配合、施工時の環境(温度や湿度)に起因します。品質が安定した材料を選び、施工管理が徹底された業者であれば、隙間ができるリスクは大幅に低減できます。


このように、多くのデメリットは「適切な製品選び」と「確実な施工」によってコントロールが可能です。 コストや撤去の困難さは事実として残りますが、それ以上に深刻で、かつ見落とされがちな「本当の失敗」が別に存在します。




■本当の失敗は「ウレタン」ではなく「隙間」と「結露」

読者の方が恐れている「火災」や「健康被害」といったデメリットは、先述の通り、F☆☆☆☆認定のような安全な「製品選び」で大半が回避可能です。


実は、ウレタン吹き付けにおける最大の失敗、そして最も多く発生している問題は、そうした材料の特性よりも「施工不良」によって引き起こされます。


具体的には、「目に見えない隙間」と、それが引き起こす「壁内結露」です。


ウレタン吹き付けは、職人の腕次第で品質に差が出やすい工法です。もし施工がずさんで、柱と梁が交差する複雑な部分や、コンセントボックスの周りなどにほんのわずかな隙間でも残ってしまうと、そこが断熱の弱点となります。


その隙間から冬場は冷気が侵入し、夏場は熱気が入り込むため、「高気密のはずなのに寒い・暑い」という後悔に直結します。


さらに深刻なのが「結露」です。 室内の暖かく湿った空気がその隙間から壁の内部に入り込み、冷たい外気で冷やされると、壁の中で水滴(結露)が発生します。これが「壁内結露」と呼ばれる現象です。


壁内結露は、断熱材を湿らせてカビを発生させ、家の土台や柱といった大切な構造材を腐らせる原因となります。これこそが、家の資産価値を大きく損ない、ご家族の健康を脅かす最大の「デメリット」と言えるでしょう。 この問題は、「ウレタンだから」起きるのではなく、「施工が悪いから」起きるのです。




■デメリットを「管理」できる業者の3つの条件

では、どうすればウレタン吹き付けのデメリットを確実に管理し、最大の失敗である壁内結露を防ぐことができるのでしょうか。


それは、作業を行う「業者選び」にかかっています。 以下の3つの条件を満たしているかを確認してください。



・1. 安全基準を満たした材料(F☆☆☆☆など)を使用しているか

まず大前提として、健康や安全に配慮した材料を選定しているか。F☆☆☆☆認定はもちろん、VOC(揮発性有機化合物)の含有量など、使用する材料の安全性について明確に説明できる業者を選びましょう。



・2. 施工品質を「C値測定」で数値化してくれるか

「丁寧にやっています」という感覚的な言葉ではなく、施工完了後に「気密測定(C値測定)」を実施し、どれだけ隙間なく施工できたかを客観的な数値で報告してくれるかが重要です。「C値0.5以下」など、高い目標値を掲げている業者は、それだけ技術に自信がある証拠です。



・3. 「換気計画」までセットで設計できるか

高品質な施工で家が高気密になればなるほど、空気の入れ替えを行う「換気計画」が生命線となります。断熱施工だけを請け負う業者ではなく、家全体の空気の流れを計算し、結露リスクを根本から断つ換気設計までトータルで提案できる専門家でなければなりません。


単に断熱材を吹き付ける「作業」を依頼するのではなく、その先の「快適な温熱環境」や「健康的な空気の質」を設計してくれるパートナーを選ぶことが重要です。 ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化など、家全体の性能向上まで見据えた提案ができるかどうかも、良い業者を見極めるポイントになります。


どれだけ高い基準で施工を行っているかは、実際の事例を見るのが一番分かりやすいかもしれません。

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■不安を「安心」に変えるために、まず確認すべきこと


この記事では、ウレタン吹き付け断熱で語られるデメリットについて解説してきました。 火災、健康被害、経年劣化といった不安要素は確かに存在しますが、その多くは「適切な製品選び」と「高品質な施工」によって回避・管理できるものです。


本当に恐れるべきデメリットは、材料の特性ではなく、「施工不良によって発生する隙間」と「設計不備による壁内結露」です。


したがって、読者の皆様が今取るべき行動は、デメリットを恐れてウレタン吹き付けを諦めることではありません。そのデメリットを確実に管理してくれる、信頼できる「本物のプロ」を見極めることです。


ご自身の家づくりにおいて、業者がどのような材料を使い、どのように施工品質を担保し、どう結露を防ごうとしているのか。その点をしっかりと確認することが、不安を「安心」に変えるための最も確実な一歩となります。


家は、家族の健康と暮らしを守る基盤です。その性能に関わる重要な選択だからこそ、まずは気軽に専門家の話を聞いてみてはいかがでしょうか。

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