断熱材の種類を比較|グラスウール・ロックウール・ウレタンなどの違いと選び方

断熱材には、グラスウール、ロックウール、硬質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなど、さまざまな種類があります。


種類が多いため「結局どれが一番いいのか」と考えたくなりますが、断熱材は一つの数字だけで優劣を決めるものではありません。施工する場所や必要な厚み、防火・吸音など断熱以外に求める性能、施工方法まで含めて選ぶ必要があります。


この記事では、代表的な断熱材の種類とそれぞれの特徴を整理し、断熱材を比較するときに確認したいポイントまで解説します。




断熱材にはさまざまな種類がある

断熱材は、原料や内部構造、製品の形状、施工方法によって複数の種類に分けられます。

代表的なものとして、グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材と、硬質ウレタンフォームやポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどの発泡プラスチック系断熱材があります。


国土交通省の断熱改修に関する基準でも、グラスウール、ロックウール、ビーズ法・押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームなど、複数の断熱材が区分されています。

参照:国土交通省「躯体の断熱改修」


ここで注意したいのは、材料名だけで断熱性能が決まるわけではないことです。同じグラスウールでも製品によって性能は異なり、同じ材料でも施工する厚みによって建物として得られる断熱性能は変わります。




グラスウールはガラスを繊維状にした断熱材

グラスウールは、ガラスを高温で溶かし、細かな繊維状にした断熱材です。細い繊維の間に空気を保持することで、熱を伝わりにくくしています。


住宅の壁や天井、床だけでなく、建築物や設備、産業用途など幅広い場所で使われています。扇断熱工業でも、グラスウールを使用した断熱・吸音工事に対応しています。

参照:硝子繊維協会「グラスウールの断熱性」



グラスウールの特徴

グラスウールは断熱材として使われるだけでなく、繊維の間に多くの空気を含む構造から、吸音材としても利用されています。

そのため、室温への対策とあわせて音への配慮が求められる壁や天井などで採用されることがあります。


また、グラスウールと一括りにしても、密度や繊維の太さ、製品の厚みなどによって性能は変わります。「グラスウールだからこの性能」と判断するのではなく、使用する製品の仕様まで確認する必要があります。

参照:硝子繊維協会「グラスウールの吸音性」



グラスウールを使うときの注意点

グラスウールでは、材料そのものの性能だけでなく施工状態も重要です。

柱や配管の周囲に隙間ができたり、無理に押し込んで本来の厚みを確保できなかったりすると、計画していた断熱状態をつくりにくくなります。


製品によっては室内側に防湿層を設けるなど、水蒸気が断熱層へ入り込みにくい構成も必要です。建物の部位や仕様に合わせて、防湿・気密まで含めて施工を考えます。




ロックウールは鉱物を原料とする繊維系断熱材

ロックウールも、グラスウールと同じ繊維系に分類される断熱材です。

鉱物などを高温で溶融し、細かな繊維状に加工してつくられます。繊維の間に空気を保持することで熱を伝えにくくする点は、グラスウールと共通しています。

断熱だけでなく、吸音や耐熱性が必要な建築用途でも利用されます。



ロックウールの特徴

ロックウールは無機質の繊維系材料で、断熱材のほか、吸音材や耐火・保温に関わる材料としても使われています。

そのため、単純に室温だけを見るのではなく、音や火への配慮が求められる建物では選択肢の一つになります。

扇断熱工業でも、グラスウールやロックウールなどを用いた断熱工事に対応しています。



グラスウールとの違い

グラスウールとロックウールは、どちらも繊維系断熱材なので似た材料に見えますが、原料や製品仕様が異なります。

ただし「ロックウールの方が優れている」「グラスウールなら劣る」と一律に決めることはできません。製品ごとの熱伝導率や必要な厚み、施工場所、吸音・耐熱など求める性能まで見て比較します。




硬質ウレタンフォームは発泡した樹脂を使う断熱材

硬質ウレタンフォームは、細かな気泡を内部に持つ発泡プラスチック系の断熱材です。

気泡の中に熱を伝えにくいガスを閉じ込めることで断熱性能を持たせています。繊維系断熱材とは材料の構造が大きく異なります。

参照:ウレタンフォーム工業会「硬質ポリウレタンフォームの主な特性」



ボード状と現場発泡がある

硬質ウレタンフォームというと、現場で吹き付ける断熱材をイメージする方もいますが、すべてが吹付け施工ではありません。

工場で製造されたボード状の硬質ウレタンフォーム断熱材もあれば、施工現場で原液を吹き付け、発泡させながら断熱層をつくる方法もあります。


現場発泡の吹付け硬質ウレタンフォームは、施工面の形状に追従させながら断熱層を形成できるのが特徴です。一方で、必要な厚みを確保できているか、施工されていない箇所が残っていないかなど、施工品質の確認も重要になります。



吹付け硬質ウレタンフォームにも種類がある

吹付け硬質ウレタンフォームの中にも種類があり、発泡の仕方や用途などによって使い分けられます。

ここまで細かく扱うと「断熱材の種類」という本記事の範囲を超えるため、ウレタン吹付の種類については別の記事で詳しく解説しています。


ウレタン吹付の種類や現場による選び方を確認したい方へ。

ウレタン吹付の種類と選び方を見る




ポリスチレンフォームにはEPSとXPSがある

ポリスチレンフォームも発泡プラスチック系に分類される断熱材です。

代表的なものとして、ビーズ法ポリスチレンフォームと押出法ポリスチレンフォームがあります。英語表記から、それぞれEPS、XPSと呼ばれることもあります。



ビーズ法ポリスチレンフォーム

ビーズ法ポリスチレンフォームは、ポリスチレンの粒を発泡させ、型の中で成形してつくられる断熱材です。

細かな粒が集まったような見た目をしており、板状の製品として使用されます。



押出法ポリスチレンフォーム

押出法ポリスチレンフォームは、原料を発泡させながら押し出し、板状に成形した断熱材です。

同じポリスチレン系でもEPSとは製造方法や製品構造が異なるため、同じ材料としてまとめて判断せず、実際に使用する製品の性能を確認します。




フェノールフォームなどほかの断熱材もある

代表的な断熱材は、グラスウールやウレタン、ポリスチレンだけではありません。

建築用断熱材にはフェノールフォームや木質繊維系、吹込み用断熱材などもあり、使用する場所や施工方法によって選択肢が変わります。



フェノールフォーム

フェノールフォームは、フェノール樹脂を発泡させてつくられる発泡プラスチック系断熱材です。

主に板状の製品として使用されます。製品によって熱伝導率や厚みなどが異なるため、設計条件に合わせて選定します。



木質繊維・セルロース系など

木質系の繊維を使った断熱材や、古紙などのセルロース繊維を利用した断熱材もあります。

吹込み施工を行う製品などもあり、グラスウールや硬質ウレタンフォームとは施工方法が異なります。

断熱材は名称だけでも多くの種類がありますが、すべてを覚える必要はありません。実際に比較するときは、材料名よりも「その建物のどこに、どの方法で施工するのか」を先に整理する方が判断しやすくなります。




断熱材は6つのポイントで比較する

断熱材を比較するときに、カタログの熱伝導率だけを並べても十分ではありません。

最低限、次の6つを確認すると材料ごとの違いを整理しやすくなります。

  • 熱伝導率
  • 必要な厚み
  • 防火・耐熱性
  • 水分・結露への配慮
  • 吸音性
  • 施工性・現場条件



①熱伝導率

熱伝導率は、材料の熱の伝わりやすさを示す値です。基本的には数値が小さいほど熱を伝えにくい材料と考えます。

ただし、熱伝導率だけを見て断熱材を選ぶのは不十分です。


実際の断熱性能には材料の厚みも関係します。硝子繊維協会でも、異なる材料や厚みを比較する場合は、熱伝導率だけではなく厚みを含めた熱抵抗値で確認する考え方が示されています。

参照:硝子繊維協会「断熱性能は熱抵抗値が重要」



②必要な厚み

熱伝導率が異なる断熱材では、同程度の熱抵抗を確保するために必要な厚みも変わります。

そのため「Aの断熱材は50mm、Bは100mmだからAの方が優れている」と厚みだけで判断することもできません。


使用する製品の熱伝導率と厚みをセットで確認します。



③防火・耐熱性

建物によっては、断熱性能だけでなく火に対する性能も重要になります。

材料そのものの性質だけでなく、内装材や下地、耐火被覆などを含めた建物全体の構成で確認する必要があります。


特に工場・倉庫・施設では、用途や建築条件によって必要な仕様が変わるため、「断熱材が燃えるかどうか」だけで工法を判断しないことが重要です。



④水分・結露

断熱層へ水分や水蒸気が入り込むと、断熱材だけでなく建物内部にも影響する可能性があります。


そのため材料の吸水性だけを見るのではなく、防湿層や気密層、室内外の温湿度条件なども含めて考えます。


断熱材を選んだ後に結露対策を考えるのではなく、断熱と防湿を一つの構成として計画する必要があります。



⑤吸音性

断熱と同時に音への対策が必要な場合は、吸音性能も比較材料になります。

グラスウールのような繊維系材料は吸音材としても使われているため、室温対策だけでなく、設備音や室内音への対策を考える現場で選択肢になることがあります。


ただし、断熱材を入れるだけで防音工事が完了するわけではありません。壁や天井の構造、遮音材、隙間なども音の伝わり方に影響します。



⑥施工性・現場条件

最後に確認したいのが、実際にその断熱材を施工できるかです。

壁の内部にマット状の材料を納めるのか、ボード状の材料を張るのか、複雑な下地へ吹き付けるのかによって施工方法は変わります。


工場や倉庫では、鉄骨、梁、ダクト、配管、機械設備などが施工に影響する場合もあります。材料単体の性能が高くても、現場条件に合わなければ適切な施工が難しくなります。




断熱材は「どれが一番」ではなく使用条件から選ぶ

断熱材の種類を調べると、熱伝導率の小ささや価格などから「どの断熱材が一番優れているのか」を決めたくなります。

しかし、建物ごとに構造も施工場所も違います。必要な断熱性能、防火・吸音への要求、施工できる厚み、現場の形状なども同じではありません。



住宅

住宅では、壁・屋根・天井・床など施工する部位によって使用できる断熱材や工法が変わります。

新築なのか既存住宅の改修なのかによっても施工できる範囲が違うため、材料だけを先に決めるのではなく、建物全体の断熱計画から考えます。



工場・倉庫・施設

工場や倉庫、各種施設では、大きな屋根や壁、鉄骨、設備配管など、住宅とは異なる条件があります。

暑さ対策が目的なのか、空調効率を改善したいのか、吸音や耐火など別の性能も必要なのかによって、選ぶ材料と施工方法は変わります。

扇断熱工業では、岡山県を中心とした中国四国地方で、防音・断熱・吸音・耐火工事を行っています。



材料だけでなく施工方法まで確認する

断熱材を選ぶときは、材料名だけで判断しないことが重要です。

グラスウール、ロックウール、硬質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなど、それぞれに異なる特徴があります。

そのうえで、熱伝導率、必要な厚み、防火・耐熱性、水分への配慮、吸音性、施工性を確認し、建物の条件に合う材料を選びます。


断熱材の性能と同じくらい、適切な場所へ必要な厚みで施工できているかも重要です。「どの材料が一番か」ではなく、「この建物のこの場所には何が適しているか」で考えると、断熱材を比較しやすくなります。


硬質ウレタンフォームの中でも、吹付方法や用途による違いを詳しく確認したい方へ。

ウレタン吹付の種類と選び方を見る